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JDLに振り回され?

 pc.casey.jp » Access2007でExecuteTempImexSpecエラーって・・・ の続き。

税理士の先生様でなければ帳票が出ないそれってどうよ・・・。

◆最初に

筆者は会計や簿記等に関する基礎的な知識を持ち合わせていたので、特に難しいとも思わず弥生会計を使っていた。

もちろん、業務全体を網羅できるものではないから幾つものシステムがあるなかでの一つ。本当は一元管理できたらいいんだけど。当然同じような処理を何度か行うことになる。それぞれシステムが担当していることが違うからだ。無駄な作業だけれど、完全に無駄とも言えない状態。もっとも、すべてを弥生シリーズなら弥生シリーズで完了するようにしてしまえば、連動などの恩恵にありつけるわけだが。

しばらくすると顧問税理士からデータのやり取りが面倒で、かつ筆者の仕訳の仕方と訂正、追加量が多い事を理由にJDLにするよう勧められる。要はJDLのシステムを使っている税理士事務所だから代理店機能もあるのか、リレーションが便利なのだとかいくつかメリットがあったのだろう。というか、向こうでインポートができないらしく、いちいち手動入力したりエクセルで変換したりしていたらしい。

それくらいのプログラムなら作りましょうかと言ったけれどあまり理解できてない様子(こういう処理をしている企業は結構多いらしくて、プログラムの作成依頼もちらほらあったりする)。いま思えば完全アナログと完全デジタルのガチンコ勝負だったような気もしてくる。ネットはあるけどメールで連絡が取れない(データ送付も)とか何とか。優待購入できるようなことを言っているけど、既にソフト持っているんだから買おうとも思わなかった。

ちなみに、JDLとTKCだったかな、その違いはクラサバ系かホスト系の違いなんだとか。現在はどうなんだろう。

そんなある時、JDLからカジュアルというシリーズが出たと顧問税理士から教えられる。この会社のソフトは何度か触ったことがある程度だったが、早速WEBからダウンロード。無料で14箇月使えるらしい。えらく使いにくいけれど初心者には勧めたいソフトだった。通信系のD社やN社、運送系のK社はクソったれなシステムを造るので、そういうもの用に仮想化していた環境があった。ついでにこれも入れておこう(この時のこの判断が今回助けてくれることになる)。

しばらく使った後、リフレッシュのためか期限のためか忘れたけれど新しい仮想システムへ移行した。そうしたらダウンロードできなくなっていたので、慌てて顧問税理士に連絡をとるとプレスされたCDを持ってきた。すかさずバックアップしつつ、インストール。その時から数えてちょうど14箇月目が2010年6月中旬。あと十数日で期限が切れると焦らせる。

今回は10年ぶりに顧問税理士に頼らず自力で書類を出すことになっていた。ただ、ソフトはそのまま使い続けていた。

◆帳票がでない!

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税務書類をまとめるには会計システムを締めなければならない。3月31日が年度末のため、その2箇月後の5月31日が今回の期限。2ヶ月もあるじゃないかといわれそうだけれど、2箇月くらい経ってから決済されたり、その通知が来たりするのもあるから結局ギリギリになる。どんなに念入りに日次業務を行っていてもヒューマンエラーは回避できない。各システム、各帳票を何百回と調整してようやく完了した。

さて、帳票を出そう。学生時代が懐かしい。

◆データの取り出し

帳票がでない。出ません。というか、そういう機能が無い。どうしよう。というのが、前回やったことになるわけです。データ構造は以下の通り:

  1. 識別フラグ,
  2. 伝番,
  3. 日付,
  4. 借方科目,
  5. 借方科目名称,
  6. 借方科目正式名称,
  7. 借方補助,
  8. 借方補助名称,
  9. 借方課区,
  10. 借方税区,
  11. 借方税入力方法,
  12. 借方金額,
  13. 借方消費税,
  14. 貸方科目,
  15. 貸方科目名称,
  16. 貸方科目正式名称,
  17. 貸方補助,
  18. 貸方補助名称,
  19. 貸方課区,
  20. 貸方税区,
  21. 貸方税入力方法,
  22. 貸方金額,
  23. 貸方消費税,
  24. 摘要,
  25. 借方取引科目,
  26. 貸方取引科目,
  27. 借方部門コード,
  28. 借方部門名称,
  29. 貸方部門コード,
  30. 貸方部門名称

 ◆取り出したデータをAccessで読み込む・・・めない!

Excelなんかで処理してたら日がくれてしまうので、データベースにインポート・・・できない!こちらも前回の内容の一つ。結局、なんとかインポートできたから適当なSQLを発行して「借方」「貸方」「差額」というクエリを作った。時間があれば複雑なSQLを発行するけれどとにかく時間がないから仕方ない。それに今後使うわけでもないし。突っ込みどころは満載だろうけれど、あくまで時間が無いのでSQLは以下の通り(事業所番号なので一部伏字):

SELECT
   [JDL出納帳-0***-2203-仕訳3].貸方科目,
   [JDL出納帳-0***-2203-仕訳3].貸方科目名称,
   Sum([JDL出納帳-0312-2203-仕訳3].貸方金額) AS 貸方金額の合計
FROM
   [JDL出納帳-0***-2203-仕訳3]
GROUP BY
   [JDL出納帳-0***-2203-仕訳3].貸方科目,
   [JDL出納帳-0***-2203-仕訳3].貸方科目名称;

SELECT
   借方.借方科目名称,
   借方.借方金額の合計,
   貸方.貸方金額の合計,
   [借方金額の合計]-[貸方金額の合計] AS 差額
FROM 借方
INNER JOIN 貸方 ON 借方.借方科目名称 = 貸方.貸方科目名称;

◆書類をエクセルで作る

とりあえずこれで合計金額が出た。B/S(貸借対照表)とP/L(損益計算書)やその他の書類を作る。Accessのクエリを実行した結果をExcelに貼りつけると自動的に必要な書類に入るように仕掛ける。当然、流石の複式簿記だから矛盾があると数字は合致しない(=ほとんどの場合当期純損益を指す)。で、合致しないわけだ。その辺は想定内と言うか学生時代の免疫かあまり驚かない。

ちなみに、仕訳データなので前期繰越は考慮されないからExcel側でそのように調整してやる必要がある。ほとんどの項目は期待する値になっているものの、B/SとP/Lが合致しない。どっかしら違うのだ。あーでもないこーでもない何度も調整してみるもついに合わない。

◆net版を使う

あきらめが肝心だ。数時間調整してもダメなので、これ以上やるとワケがわからなくなる。悪化する前に脱出しよう。この時点での対策は他社のシステムでインポート出来るか等だ。弥生には体験版がある。が、細かい仕様が公開されていない。JDLには体験版がないけれど、net版が用意されていた。

JDLのnet版はずいぶん優しい価格でしかもSaaSで提供されている。調べると(1)カジュアル版のデータを受け入れてくれる(2)すぐに利用できることがわかったので速攻で導入。インストーラを立ち上げると「税理士事務所さまが絡んでるから、そっちに依頼してね」と出る。んだから今回は使ってねぇーんだって・・・。流石税理士事務所さまに優しい会社・・・。サポートはソフト上から受けられますというものの、インストールすらできないからアクセス仕様がない。ウェブにはFAQが申し訳ない程度並んでいるだけ。

さらに調べると、カジュアルを削除すればなんとかなるかもと思い、データ退避をして削除・・・する前にこの状態の仮想コンピュータをコピーしておこう。一時的に全く同一のパソコンが2台ある状態になる。助かった・・・。コピーした方でカジュアルを削除してインストールを続行する。なんとかインストールできた。ただ、支払い方法とかどうよ?と思わなくもないけど、そこは対策というか戦略かなーと思ったり。

◆自社データ受付拒否!?

さぁて、予想はしていたけれどカジュアル版のデータファイルを投入できない。いま考えられる唯一のことはCSVデータの投入しかない。さらに調べると抜けみつを見つけた。オプションかよ、と突っ込みながらもオプションサービスを追加すると追加料金とともにCSV入出力も可能になるというのだ。これまたインポート/エクスポートの仕様が詳しく書かれてない。とにかく入れてみるしかない。

カジュアル版で吐き出したCSVを読ませてみる。エラーがたくさん・・・。カジュアルは余計なヘッダを出すのでそれを消してみる。それでもダメ。ログを見る。ものすごい数のエラーが有る。自社データの受け入れもダメかよ!とキレつつエラーを読む。このエラーのだしかたは楽天のそれと似てるなーと思いつつ調べる。わかったことは次の通り:

  • 科目コードが3桁4桁混在から4桁に統一され、コードが変更されている
  • 課区(課税区分)になにか変化があったらしい
  • 補助元帳がnet版に登録されていなければならないらしい など

・・・。このパターンでこのタイミングで出るエラーというのは絶望感が増す。 

◆データ変換と登録を手動で!?

仕様が公開されていないと苦戦する。いや、あるのかもしれないけれど、目につくところには無かった。サポートに連絡しても定型文返ってくるとか、時間がかかるかもとか考えると時間が無い状態では使えないので却下。自分で解決するしか無い。

net版で登録画面を開き新しいコードをメモする。カジュアルにはコード吐き出す手順があった気がするけどnetにはないのか?それとも見えてないだけか?とにかくデータ変換するための小さな中間プログラムをエクセルで組む。必要なコードの一覧はクエリの実行結果から得られているのでその項目についてだけ調べればよい。

ところで、補助元帳すらCSV投入できない。唖然としながら取引先(売掛用と買掛用)、銀行を手動で入れる。仕訳データを投入するより簡単だろ?と自分を慰めつつ。とは言っても、できるかどうか分からない状態だから、慰めの声を掛ける自分も自信がない。・・・。

祈るような気持ちで変換したCSVをぶち込む。しかし、依然としてエラーは出るし、エラーも変わる。CSVの説明には必要な項目があれば入力できるようなことを謳っていたが、それは自社の指定する厳密な内容でなければならないという意味だったようだ。

最後までエラーだったのが課区。どうやらこれまで「仕 入」と「売 上」となっていたものが「仕 入」に統一されたようだ。愛用のK2Eエディタで置換する。これで投入できた。投入できた瞬間は投入できたことを理解するまでに時間を要した。

◆解決

簡単に書いているけれど、想像以上の苦労があったし、時間もかかった。そして時間も迫っている。まるでプログラムの納期が迫っている時のようだった。数年に一度経験するそれをここで経験しなくてもなぁと思いつつ、エラー&トライができる、その忍耐があるというのはプログラマ特有ではないかと思う。ある意味で体力と忍耐力に優れた人達だけが就ける職業にいつも感じる。

問題は解決できたけれど、ミッションはコンプリートしていない。これはスタートラインであって、ここから壮絶な書類作成が始まる・・・。

◆おわりに

さて、銀行、県税事務所、税務署等に700枚ほどブチ出した書類から作った分厚い書類を提出する。念のためチェックもしてもらう。終り、とならない。(この印刷もどれだけ紙詰まり起こせば済むんだ?カウンタとられてるんだぞ?とケチなことを思いつつ、プリントアウトが正しくできたか監視しなければならないのが手を焼く子どものように可愛くもあり、可愛くなくもあり)

なぜなら市役所が入っていない。書類が届いていない。探しても見つからない。以前、どこかのお役所からの書類が行方不明になったことがあって、届いてないよと言ったところ、そんなはずはないだののやりとりがあって、その風景が思い出される。払わなくていいならかまったことはないけど、後から請求来たらたぶん追徴課税とられるんだろうね。ということで市役所に出向く。前回、顧問税理士が作成した書類を出すと、持っていってしまった。それは保管義務書類なので持っていかれると困るんだけどな・・・。

どうやら事業所番号から調べたらしい。なぜ一言ないのだろうね。そうすると次のような回答があった。「4月○日に顧問税理士から今回は関与しない通知を受けておりましたが、法人様に対して書類を送付した記録がありません。こちらの手違いがあったようです」是非ともそれを文書にして欲しいものだ。担当が何を言おうと、効力を持つのは文書だけだから。顧問税理士がきちんと仕事をしていたのにそれなりに感心し、役所で履歴を管理していることに(CRM的に)関心しながらなんとも複雑な思いだった。

何がどうあれ、たぶん遅れたら追徴課税なんでしょ?と不貞腐れてみた。市役所も県税事務所も懐かしいなぁと思いながら○さんいるかなーとも思いつつ窓口に行くと、あ、それは○番窓口で、と。なんともね・・・。3番と4番の仕切り板はそんなに分厚いのかな。わからなくもないけれど、複雑。各方面、以前よりよくなったものの、なんというか。

・・・というか、国税庁を初めとする公官庁のホームページからようやくPDFなどがダウンロードできるようになったのは進化として受け止めたいけれど、なぜそこに入力させない?まぁ、エルタックスだの使えよといわれそうだけど、社保庁のそれも同じで使えるようになるまで時間がかかるので少なくとも今回は却下。少なくとも同じ項目や同じ内容の入力があるなら連動させるとか、せめて印刷ツールくらい用意して欲しいものだが。

ちなみに、net版、Win版どちらもGoogle日本語入力と相性が良くない。一長一短なんで、どちらを使うか悩むところ。

◆関連ページ

◆参考文献等

コメント

  1. 通りすがり より:

    全面的に同意。
    おそらく、JDLは「中小企業なんて経理も知らないから税理士にデータ丸投げして、出来上がった帳票を神棚にでも上げて置けばいい。」と思っているのだろう。(現実、そのような会社も珍しくない。)
    出納帳(net)にしても、税理士のデータ入力削減を目的にしているとしか考えられない。仕訳ぐらいしかCSV出力できない。基本的に帳票はすべて紙に出力。画面の操作性はDOS時代と大差なし。
    私も以前弥生会計を使っていましたが、税理士の都合でJDLを使用していが、使い勝手の悪さに唖然とした。
    BS、PL、CS等の帳票をCSV出力できないなんて。(意図的としか思えない。)
    しかたがないので、Excel仕訳データを流し込んで再集計し、必要な帳票類を作っています。
    話は変わりますが、3年ほど前、顧問税理士がJDLのシステムを入れ替えた際、JDLの帳票出力用レーザプリンターを見せてくれた。(300万円位立ったと思う。)
    税理士曰く「高かったけどカラーですごく綺麗に印刷できるよ。」
    私「そんなにするなら、カラー複合機買えますね。いろいろできるし。PDFで出力して、カラー印刷(2色刷)することもできますよ。」
    税理士「 ・・・ 」
    ※税理士って結構会計ソフト屋のいいなりのところが多い。

  2. 通りすがり より:

    (コメント訂正)
    税理士の都合でJDLを使用していが、 → 税理士の都合でJDLを使用している、
    300万円位立ったと思う。 → 300万円位だったと思う。

  3. admin より:

    どの分野でも専門家は素人相手のほうがやり安いのだと思います。今回は私が顧客側に居たわけですが、何年も簿記をやっていた、やらされていた人間は素人に毛が生えた面倒な存在。

    税理士はナイスなアドバイスをくれるわけでもなく、質問に完全に答えられるわけでもなく。「なんのために存在するのか?」と聞いたところ「適切な税務申告を行うため」と回答されました。敵でもなければ味方でもないような言い回し…。

    システム屋の言いなりにも納得ですね。弥生を使い続けていたのですが税理士がインポートしにくいらしく、JDLにしないか?と持ちかけてきました。これが使いにくい…。そこで、コンバーターを作ってあげるよと話したけれど???な状態。ネットバンクの取引データも同様に。

    面倒な顧客であることは承知していたから、結局JDLにした(その時は期間限定無料版があった)。が、セキュリティの為かインターネットに未接続。税理士に提出する機能を使えないために何と毎度フロッピーディスクでデータのやり取り。(当然だけど)監査を受けるとデータを訂正・追加できない。

    最も不満だったことは各種帳票や汎用データが出力できなかったこと。おそらくJDLとしてはその機能は税理士側に搭載されていて、提出やそれなりの状態は税理士から提供されるから不要だろうと考えているように見えた。だからJDLは「入力ツール」でしか無いように思えて仕方なかったし、確かに(完全な素人が)入力することを主眼に置けば評価は高くなる。

    弥生では必要な経営情報を見られたけれど、JDL になってからは見えなくなってしまった。使いこなせていないだけかもしれないし、持ち合わせている余計な知識が邪魔するのかもしれない。この時は規模が小さいためだろうが数カ月に一度税理士にデータを提出していた。だから、「今」の状態がわかるのは数ヵ月後。これでは試行錯誤した結果が良かったのか良くなかったのか戦略を立て直すにもゆっくり過ぎる。

    会計ソフトは高価。記事中の流れもあって出納帳(net)を使うことになった。安かったし必要だったから。が、「使った分だけ」というのは機能やデータ保管を指しているから、使おうが使わまいが結局、永久に支払うことになってしまう。必要な情報は入手できるようになったけれど…。

    難しいですねぇ。Excelで再集計など共通点がある方がいらっしゃるというのは、それとなく嬉しく感じました。コメントありがとうございました。